その内容でございますが、総体的にデビュー作にしてはあまり華々しい印象ではなく、ジャケットのような(ちなみに1stプレスと写真が違います) 場末のクラブで歌っているかの印象で、A1は
チェット・ベイカーの歌唱で知られた映画「It Happend In Brooklin」の主題歌でございますが、本作では比較的スウィンギンなアレンジでございます。A2も引き続き47年の映画で、Jimmy Van Heusen, Johnny Burke による「南米珍道中」の主題歌でございまして、主演の
ビング・クロスビーが歌いヒットしたナンバーでございます。ていうか彼女、
りりィを思わせるハスキーなお声でございますが、この時彼女は25歳でございます。レコードが中心へ向かうほどにディープになる本作でございますが、A3はGordon Jenkins, Joe Bishop作、
ニーナ・シモンのヴァージョンで知られるブルース・フィーリングのナンバー。A1, A2のバックは大沢保郎トリオでございましたが、こちらは
横内章次トリオ。氏のギター・プレイも聴きものの一曲と存じます。そのまま横内のトリオによるA4、
The Peddlersもカヴァーした「Sneakin' Up On You」はいよいよ本作の最深部といった趣でございまして、彼女の個性が最も際立った本命の一曲と存じます。A5は戦前のナンバーでIrving Berlinの作詞曲、35年の映画「トップ・ハット」の主題歌でございまして、横内のトリオに宮沢昭のフルートをフィーチャー。救いがないくらいダークだった本作もいくらか明るい雰囲気を取り戻します(笑)
レコードをひっくり返しまして。タイトル曲B1は51年にIrving Gordonが作曲、
ナット・キング・コールやダイナ・ワシントンの歌唱でヒットしたナンバーで、タイトルに持ってくるだけございまして彼女の十八番のバラードだそうで、バックは再び大沢のトリオに宮沢のテナーが美しいオブリカートをつけてございます。B2も51年のナンバーでパーシー・メイフィールドの作詞曲。昨日登場した
Sadeもカヴァーしてございます。B3は言わずと知れたスタンダード、コール・ポ-ター作曲の「I've Got You Under My Skin」 も雰囲気のよろしい好カヴァーと存じます。ラストはヘンリ・クリーマ作詞、ターナー・レイトン作曲の「君去りしのち」カヴァー。
Marion Harrisの録音が最も古く、その後もジュディ・ガーランドや前述の
ニーナ・シモン等々、数々のアーティストに歌い継がれてきたナンバーでございます。
Mari Nakamoto (中本マリ) – Unforgettable! ’73 TBMA1. Time After Time
A2. But Beautiful
A3.
Blue Prelude A4.
Sneakin' Up On You A5. Cheek To Cheek
B1. Unforgettable
B2. Please Send Me Someone To Love
B3. I've Got You Under My Skin
B4. After You've Gone
Credit;
Produced By - 藤井武 Takeshi Fujii
Recording Engineer - 神成芳彦 Yoshihiko Kannari
Art Director - 西沢勉 Tsutomu Nishizawa
Vocals - 中本マリ Mari Nakamoto
Tenor Sax & Flute - 宮沢昭 Akira Miyazawa
Piano - 大沢保郎 Yasuro Osawa
Bass - 稲葉国光 Kunimitsu Inaba
Drums - 小原哲次郎 Tetsujiro Obara
Guitar - 横内章次 Shoji Yokouchi
- その他の中本マリ作品 -・
中本マリ「Femele Vocal Ⅲ/Just In Time」('75 Toshiba)・
中本マリ「Mari」('77 TBM)・
中本マリ「Nice Feeling」('77 Victor)