流石は20世紀最高の音楽プロデューサーといったところでございましょうか。弥が上にも期待するその内容でございますが、本作までの彼の作品はほぼビッグ・バンド・スタイルだったわけでございますが、所謂アーバンソウル、ブラコンの先駆けともいえる作風に。そのサウンドも勿論でございますが、楽曲に応じてフィットするヴォーカリストをフィーチャーしている点が、これまでのアルバムとは違う、重要なポイントと存じます。ジャケットのように洗練された黒いフィーリングは、凡そ74年とは思えない時代を先取りしたサウンドでございましょう。
タイトル曲はヴォーカルにレオン・ウェアとブルース・フィッシャーをフィーチャー。何度聴いても痺れる当方の大好きなメロウSOULでございまして、サンプリングソースとしても人気のチューン。からのA2は個人的に本作の白眉に挙げたいグルーヴィー・チューンでございまして、ヴォーカルは
アル・ジャロウと
サイド・エフェクトにも在籍していたジム・ギ
ルストラップ。こちらは
ウルトラファンクが翌年にカバーしてございます。A3はテキサス出身のSSW、
べナード・アイグナー作のバラード・ナンバー。自身がヴォーカルをとってございまして、前述のSicx「High Off Murder」でサンプリングされ、
75年にビリー・ポール、
77年にジョージ・ベンソン等々、数多のアーティストにカバーされてございます。A4はクインシーとデイブ・グルージン作。
ハンコック「The Trailor」にも似た、本作きってのファンキー・チューンでございます。
レコードをひっくり返しまして。B-1はクインシーとレオン・ウェアの作。
ボブ・マーリー「Get Up Stand Up」を思わせるレゲエ・フィーリングの曲調に、スティービー風のシンセ、タイトなドラミングが絶妙に絡み合ったオリジナリティに溢れたナンバー。B2はヴァルディーなる人物のライティングでクインシー自らが歌ってございます。B3は
ベニー・ゴルソンのライティングで
ジャズ・メッセンジャーズのバージョンでも知られたスタンダードナンバー。こちらは
Artifacts feat. Redman「Cummin' Thru Ya F--kin' Block」,
Ghetto Concept「E-Z on the Motion」,
Siah & Yeshua daPoED「Gravity」,
Andrés「Step to the Side」でそれぞれサンプリングされてございます。ラストは
FREE SOUL「Moon」に収録された
Maxine Nightingaleバージョンでお馴染みの曲。作曲はレオン・ウェアでございまして、本作がオリジナルでございます。ご本人は勿論、アル・ジャロウ、さらには
ミニー・リパートンをフィーチャーした、まさにアルバムのトリに相応しい極上曲と存じます。
Quincy Jones – Body Heat 1974 A&MA-1.
Body HeatA-2.
Soul Saga (Song Of The Buffalo Soldier)A-3.
Everything Must ChangeA-4.
Boogie Joe The GrinderA-5. Reprise: Everything Must Change
B-1.
One Track MindB-2.
Just A ManB-3.
Along Came BettyB-4.
If I Ever Lose This HeavenPersonnel are;
Arranged By – Dave Blumberg, Quincy Jones, Tommy Bahler
Art Direction – Roland Young
Bass [Fender] – Chuck Rainey, Max Bennett, Melvin Dunlap
Congas, Cowbell, Percussion [Rhythm Logs], Drum
[B Flat & D Flat 1962 Buick Brake Drum] – Bobbye Hall
Design [Album] – Chuck Beeson
Drums – Bernard Purdie,Grady Tate,James Gadson,Paul Humphrey
Electric Piano – Bob James, Richard Tee
Engineer [Recording] – Phil Schier
Guitar – Arthur Adams, David T. Walker, Dennis Coffey,
Eric Gayle, "Wah Wah" Watson, Phil Upchurch
Harmonica – Tom Morgan
Horns – Chuck Findley, Clifford Solomon, Frank Rosolino,
Hubert Laws, Jerome Richarson, Pete Christlieb
Mixed By – Phil Schier, Quincy Jones
Piano, Electric Piano, Synthesizer [Arp Odyssey] – Herbie Hancock
Producer – Quincy Jones, Ray Brown
Programmed [Arp Synthesizer] – Malcolm Cecil, Robert Margouleff
Synthesizer – Mike Melvoin
Synthesizer [Arp], Electric Piano, Electronics
[Electronic Bass Drums], Organ [Yc30] – Dave Grusin
Synthesizer [Arp], Organ – Billy Preston
Vocals – Carolyn Willis, Jesse Kirkland, Jim Gilstrap, Joe Greene,
Leon Ware, Minnie Riperton, Myrna Matthews, Quincy Jones,
Tommy Bahler
「Body Heat」サンプリング例