1937年1月17日テキサス州ダラス生まれで、強く弾いても音の美しさが崩れない「鈴の音」と形容されるピアノタッチが特色のピアニスト、シダー・ウォルトン。
大学卒業後にニューヨークへ出た彼は、2年間軍隊で過ごした後にケニー・ドーハムのバンドに加わりキャリアをスタート。以後アート・ファーマー・ベニー・ゴルソンのジャズテットやジジ・グライス、ルー・ドナルドソンらのグループに参加し、ジョン・コルトレーン「ジャイアント・ステップス」の録音にも携わる。
61年には、ピアニスト/アレンジャーとして
アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズへ加入。3年間籍を置き、脱退後は様々な作品にサイドメンとして録音に関わり、我が国では
ナベサダ、
笠井紀美子、
山本剛や鈴木勲らとも共演しましたが、本日NYの自宅で病死したそうです。享年79歳。
故人を偲ぶ一枚は、おそらく我が国が誇るフュージョン・レーベルEast Windのアイデアで結成されたサム・ジョーンズ(b)、ドラムにビリー・ヒギンス(ds)、
クリフォード・ジョーダン(ts)、レイ・マンティラ(cong)によるザ・ペンタゴンの76年リリース唯一作となるセイムタイトル・アルバム。
1939年のミュージカル「Swingin' The Dream」挿入歌で、それを
ベニー・グッドマンがミルドレッド・ベイリーをフィーチャーしカヴァー。全米1位のヒットとなり、サラ・ヴォーンの歌唱ヴァージョン等スタンダード曲として定着したA2「Darn That Dream」, アイラ・ガーシュウィン作詞/ヴァーノン・デューク作曲B2「言いだしかねて」といった王道ナンバーに、比較的ビッグバンドによる派手な演奏のイメージが強い楽曲ですが、本作のそれはかなり渋め&後半のコンガ・ソロ(長め)がナイスな冒頭
ディジー・ガレスピー作のAFRO JAZZ「マンテカ」, 本家よりもリズミカルなA3「Una Mas」,
レスター・ヤングの作曲でオリジナルのB1「D.B.Blues」といった渋めの楽曲、グループのクリフ・ジョーダン作で唯一のオリジナル曲ながら、マイナー調のオープニングから展開する、冒頭曲と並ぶインパクトのB3「」まで。ストレート・アヘッドな雰囲気にマンティラのコンガがええ感じのスパイスになった好作品。
ちなみに今回UPのレコードはより79年にリリースされたUSインナー・シティ盤です。