70年代より
JAZZにシンセサイザーを取り入れた第一人者であり、その発展に貢献したものは大きく、現代のミュージシャンにも多大な影響を与えたジョー・ザヴィヌル。2007年の今日、皮膚癌により75年の生涯を閉じられました。ザヴィヌルと言えば電子
マイルス期の傑作「In A Silent Way」('69)、「Biches Brew」('70)での演奏然り、
ウェザー・リポートでの活動等、数多の名作にその名を刻んでございますが、
故人を偲んでこの一枚を。ウェザー・リポート結成前夜で、ソロアルバムとしては3作目にあたる71年リリース作「ザヴィヌル」
A1「Doctor Honoris Causa」は13分強にも及ぶトーン・ポエム。Weather Reportの1stを彷彿させるような美しいメロディのイントロから、厳かにテーマへと移行。感傷的なメロディ・ラインと不穏なキー進行が交錯し、複雑な陰影をもった音世界が描き出されます。管楽器によるソロ中、ミロスラフ・ビトウスとウォルター・ブッカーによるツインベースが低いところで終始ゴソゴソ蠢き、ザヴィヌルと
ハービー・ハンコックは「ビッチェズ・ブリュー」ばりにエレピの細かいインタープレイを繰り広げます。その間、ジョー・チェンバースらによる打楽器隊は静と動を意図的にコントロールした禁欲的なプレイに徹し、全体の雰囲気からすると「ビッチェズ・ブリュー」は勿論、Wayne Shorter「Super Nova」をも凌ぐ、エグいナンバーと存じます。
A2「In A Silent Way」は先に触れたとおりマイルスが取り上げられた楽曲ですが、ザヴィヌル本人は恐らくその演奏が気に入っていなかったように思います。
マイルスのバージョンでは「It's About That Time」という出自の異なる曲がくっつけられてしまい、作者としては心中穏やかではなかったかもしれません。てことで、本作でセルフ・コピーのような形で収められています。
B1「His Last Journey」はほのかに聞こえる鈴と鐘の音が幻想的且つ映像的なインタールード。ピアノとトリッピーなエレピによるリフレインが印象深いナンバーです。で、いつの間にやらB2「Double Image」へ突入。ここではジャック・ディジョネットが参加していて、彼のドラムが全体を激しく煽りますが、テーマを担うホーンセクションは全くそれに影響されず、伸びやかにアンサンブルを遂行。テーマの提示が終了するとウォルターのアルコ、ミロスラフのピッチカートによるベースソロを中心にインタープレイが繰り広げられます。ハービーとザヴィヌルlが短くソロを回し、再び全員で集団即興を展開し、突如収束。エレピが美しいコーダを弾き始めますがここでフェードアウト。ラスト「Arrival In New York」はフランスから船で渡った少年ザヴィヌルのニューヨークに関する第一印象を着想に書いた曲だそうで、船の汽笛がのっぺりとテーマを吹き、アブストラクトな騒音がリズムになっています。なんとも意味深&不可解ですが、妙に印象に残る曲。汽笛の音がザヴィヌルを送っているように聴こえて...
B2.
Double ImageB3.
Arrival In New YorkCredit;
Bass – Miroslav Vitous, Walter Booker
Electric Piano – Herbie Hancock, Joe Zawinul
Flute – George Davis (A1, A2, B1, B3), Hubert Laws (B2)
Percussion – Billy Hart, David Lee, Joe Chambers
Percussion, Melodica – Jack DeJohnette (B1, B2)
Producer – Joel Dorn
Soprano Saxophone – Earl Turbinton (A1, A2, B1, B3)
Trumpet – Woody Shaw (A1, A2, B2, B3)
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