本作は当ブログでもじわじわと登板回数が増えてきております名サウンド・クリエイターの
大野雄二全面プロデュースでございまして、シンガーであるソニア・ローザは
ブラジルのサンパウロご出身。6歳よりギターを独学で覚え、10代でボサノヴァ歌手として自国でデビュー。折りしも、地元サンパウロでクラブを経営していた小野リサの実父との接触をきっかけに、日本へ渡ります。当時67~69年頃は我が国空前のボサノヴァ・ブームでございまして、そのブームの立役者が言わずと知れた
ナベサダでございますが、氏のバックアップを受け「Sensitive Sound of Sonia Rosa」('70)で再デビュー。その後も暫くは氏のバンドで歌っていたようで、ライブハウスでナベサダが休みのときにピアノを弾いていたのが大野雄二でして、二人は意気投合し、本作を制作するに至ったわけでございます。
その内容でございますが、初っ端の一聴それとわかるイントロは大野雄二の作曲、
松木恒秀のエレキと
中牟礼貞則のガット・ギターのコンビネーションも素晴らしいバラード。ポルトガル語による詞は全て彼女によるものでございます。A2は竜真知子作詞、大野雄二作曲。須永辰雄氏の
MIXに収録されたナンバーでございまして、そちらで彼女のことを知った方も多いのではないでしょうか。因みに当方もそのクチでございます。A3は詞・曲とも彼女。「プップ」スキャットもおっちゃんにはたまりまへん(笑) 聴いていてウキウキ(死語)する、楽しい週末感と彼女らしさに溢れた好曲と存じます。大野雄二作曲によるスロー・サンバのA-4は、氏ならではの美しいストリングス・アレンジと、ナイロン弦でボッサ、サンバ調の曲を弾かせたら右に出る者はいないであろう中牟礼のギターが印象的で、最後に聴こえる数原晋のトランペットまで実に行き届いてございます。A5の作詞曲はA2のコンビ。トコトンしっとり歌う彼女のお声は、おやすみの一曲としてもうってつけではないでしょうか。本作でも1, 2を争う当方のお気に入り曲でございます。その流れからのA6は再び彼女によるライティングで、いよいようっとり夢心地かと思いきや、ラストは一転アップテンポになり彼女がタイトルを歌う件は鳥肌物のカッコ良さでございます。因みにポルトガル詞の訳詞は掲載されておらず、彼女の表現と微妙にニュアンスが変わることをおそれ、英語でつけられたサブ・タイトルでイメージしながら本作を楽しんでほしいとの配慮によるものでございます。
レコードをひっくり返しまして。B1も彼女の作。改めて彼女はメロディ・メーカーとしても非常に優れたアーティストと存じます。B2は三度目の竜・大野ペアによる場末のスナック仕様チューン(笑) でも彼女のヴォーカルだと不思議な魅力があり、「プップ」スキャットPt.2でございます。B3も彼女の作。擽ったい&気色良い彼女のヴォーカル。それ以上"Voce"(あなた)と言われると、おっちゃん居ても立ってもいられなくなりそうでございます。そんな当方を寝かしつけようとするが如く、まるで子守唄のような優しさのB4は彼女の詞、大野雄二作曲。いよいようとうとした頃に突如ミュージカル風のストリングスが流れる、気の許せないナンバーでございます。B5は彼女と大野雄二による、
菊池ひみこ「What's Baby singin'」よろしく彼女の実子であるタロー君も登場の正に本作の集大成的な曲。ラストはアコギ一本による切なさ倍増のA1リプライズ。もう素晴らし過ぎます!
本作ほど一音も気の抜けない、聴くほどに引き込まれるボッサ・アルバムは世界広しといえどそうございません。完全にワールド・スタンダードであり、その中でも屈指のレコードと存じます。
夏のイマージュ 作詞・竜真知子 作曲・大野雄二耳もと くすぐる指 プールサイドのあなた Um...
まぶしく 灼けた素肌 透きとおる グラス
ああ 悪いひと ああ 待っててよ 陽ざしかげるまで
ああ だめなひと ああ 待っててよ 恋は すぐそこよ
真夏の夢 誘うテラス こんな日はせつなくて FALL IN LOVE
肩先はねる光 ゆらゆらと 夏ね
氷のかけら ひとつ ほてるまぶたにのせて Um...
心に 描き出すの 遠い サンゴ礁
ああ 悪いひと ああ 呼ばないで 風が変わるまで
ああ だめなひと ああ 呼ばないで 騒ぐ恋心
胸に投げた とまどいさえ こんな日は ときめいて FALL IN LOVE
あなたの罪な瞳 ゆらゆらと 夏ね
Sonia Rosa – Samba Amour '79 CBSA1.
TE QUERO TANTO (I LOVE YOU, SO)A2.
NATSU NO IMAGE 夏のイマージュA3.
FIM DE SEMANA (WEEKEND)A4. LAST SAMBA ラスト・サンバ
A5.
CHARLIE, MY DARLING チャーリー、マイダーリン A6. TUDO E VOCA (ALL OF YOU)
B1. SEI JAO QUEIMOU (BLACK BEANS)
B2.
TOKYO IN THE BLUE 東京イン・ザ・ブルーB3. RESSALVA (MELANCHOLY)
B4. TAO SO (ALWAYS ALONE)
B5.
SOCORRO TARO ! (HELP ME, TARO!)B6. TE QUERO TANTO (I LOVE YOU, SO)
Credit;
Producer - Yuji Ohno & Hiroharu Yamanouchi
Arranged & Conducted By - Yuji Ohno
Engineered & Mixed By - Tomiharu Iyobe
Art Direction & Designed By - Akio Nimbari
Voice - Sonia Rosa & Taro-chan
Keyboards - Yuji Ohno
Bass - Kenji Takamizu
Drums - Yasushi Ichihara
Guitar - Tunehide Matsuki & Sadanori Nakamure
Percussion - pepe Anai, Larry Sunaga & Brazilian Rhythm Section
(Jorge, Lindo & Tonelo)
Strings - Ohno Group
Brass Section - Jake H.Conception
Saxophone - Takeru Muraoka
Trombone - Eiji Arai Champion Group
Trumpet - Mr. Kazuhara
Flute - Mr. Nakajima Group
Chorus - Ishu Kayoko Group & Time Five
Harp - Keiko Yamakawa
Synthesizer Programmar - Kazushi Sugihara
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