プロデューサーにマイルスとの仕事でも有名なテオ・マセロ、アレンジャーにはこれまた数々の名盤を手掛け、自身も素晴らしいアーティストである、シカゴと言えばのリチャード・エヴァンスを迎えた意欲作で、ハービー・ハンコック然り、彼らほどの"必殺仕事人"たちをその気にさせることができ得るジャパニーズJAZZヴォーカリストは彼女だけではないでしょうか。それを証拠に本作、イギリスなどではレアグルーヴ的扱いの人気盤で、"外国で受けたから良いアルバム"ってもんでもないと思いますが、逆輸入的な感じは否めません。 話は逸れましたが本作、初っ端タイトル曲は笠井のライティング。クローズアップされることが多い曲で彼女が聴いてか聴かずか Salsoul Orchestra「Chicago Bus Stop (Ooh, I love It)」にかなり似ていますが、あちらは完全に当時のディスコ、本家と言っても遥かに洗練されている笠井の勝ち!
ギターのカッティングがREGGAEフィーリングで印象的なアレンジのレオン・ラッセル「This Masquerade」も素晴らしい!スロウなアレンジで彼女がしっとりと歌うビリー・ホリデイ「God Bless The Child」カヴァー、エヴァンス作のスウィンギンなB2「Being In Love」もナイスですが、冒頭曲に次ぎ本作のハイライトであろうB3「Alone The Nile」, B4「Today, Tomorrow And More Than Yesterday」の流れも素晴らしく、特にエヴァンス作のB3に至っては個人的に本作の白眉と言って差し支えない、ケメコさんの個性が際立った珠玉のメロウ・ナンバーと存知ます。