「Retrospective」とは「回顧展」という意味でございまして、ずばりまんま。それまでのコロンビア音源で編まれた
コンピレーション盤でございましてA2, B2, B3, B5以外はアルバム「Sings And Plays」('61)より選曲。B5は翌年の「Takes To The Hills」より。A2, B2, B3は音源がわかりませんが、Pは
テオ・マセロでございます。
その内容でございますが、彼の作であるB-1以外は全てカバー。同郷のソングライター兼ベーシストWillie Dixon作
Muddy WatersがオリジナルのA1。"肩の力を抜く"てな表現がございますが、力が抜けきっているモーズのヴォーカルw "バニラアイスに醤油を垂らすと意外と旨い"てな感覚でしょうか。不思議とブルース・フィーリングがマッチするのでございます。モーズ自身は
チャールズ・ブラウンのカヴァーを聴いて初めて知ったようですが、
オリジナルはジョニー・フラーのA2。Jimmy McHugh, Harold Adamsonによる63年作、
Little Willie Johnや
ダイナ・ワシントンの歌唱などで知られるA3。A4は1915年にRoger Graham, Spencer Williamsによって書かれたJAZZスタンダードの古典ナンバでー、滑らかな演奏も秀逸なスウィンギン・ヴァージョンに仕上がっております。個人的に本作の白眉がBig Joe Williams作のA5でして、何を隠そう"feelin' good!"の相方H君クラシック。A6はどちらかと申しますと女性のジャズ・ヴォーカリストのカヴァーが多く、特に
Blossom Dearieヴァージョン等で知られたナンバーでございます。
レコードをひっくり返しまして。B2は言わずと知れたコール・ポーターのナンバーでございまして、否が応にも期待するのでございますが、これが本作きっての好アレンジ&高速チューン。聴く人によっては本作の本命でございましょう。A5と肩を並べる好曲と存じます。B3は
Johnny Morris がオリジナル、本作ではインスト・カヴァーになっとります。B4は
Willie Love がオリジナル、"これぞブルース"といった一曲でございます。ラストは1930年にSam H. Stept, Sidney Clareによって書かれたジャズの
スタンダード・ナンバーでして、最近では
Jamie Cullunがカヴァーしておりました。耳馴染みよい演奏と彼の歌い上げるというよりは囁くようなヴォーカルがBGM等にうってつけの一枚と存じますが、悲しいかなの
未再発盤でございます。
Mose Allison – Retrospective '71 ColumbiaA1. I Love The Life I Live
A2.
Fool's ParadiseA3. You're A Sweetheart
A4. I Ain't Got Nobody (And Nobady Cares for Me)
A5.
Baby, Please Don't GoA6. 'Deed I Do
B1.
Back On The CornerB2.
Love For SaleB3. Can't We Be Friends
B4.
V-8 Ford BluesB5. Please Don't Talk About Me When I'm Gone
Credits;
Produced By - Teo Macero
Piano & Vocals - Mose Allison
Bass - Aaron Bell
Drums - Osie Johnson